注文住宅を建てるなら、「収納をたっぷりつくって、いつも片付いた家にしたい」と考える方は多いのではないでしょうか。
しかし実際には、住み始めてから「思ったより物が入らない」「つくったのに使っていない収納がある」と感じるケースも少なくありません。
収納は広さだけでなく、持ち物の量や生活動線とセットで考えることが大切です。
そこで今回は、京都府(京都市、向日市、長岡京市)で土地探しから家づくりをサポートするHARU建築事務所が、注文住宅の収納計画の進め方と、失敗しないためのポイントを解説します。

<この記事でわかること>
・注文住宅の収納で後悔しやすい3つの例
・収納計画を進める4つのステップ
・収納率と人数別の収納量の目安
・人気の収納スペースの特徴と選び方
・使いやすい収納にする設計のコツ
これから家づくりを始める方は、ぜひ収納計画の参考にしてみてください。
目次
- 注文住宅の収納で後悔しやすい3つのパターン
- 注文住宅の収納計画の進め方4ステップ
- 注文住宅の収納はどのくらい必要?収納量の目安
- 注文住宅で人気の収納スペースと種類
- 失敗しない収納プランニングのコツ
- まとめ
- よくある質問(FAQ)
注文住宅の収納で後悔しやすい3つのパターン

注文住宅は、収納の量や場所もすべて自分たちで決める必要があります。ここでは、注文住宅の収納でよく聞かれる後悔のパターンを3つご紹介します。
収納が足りない・多すぎる
注文住宅の収納で最も多い後悔が、「収納量が合っていない」というものです。
収納が足りないと、入りきらない物がリビングや廊下にあふれ、後から収納家具を買い足すことになります。部屋が狭くなり、インテリアの統一感も崩れがちです。
一方で、「足りなくなるのが心配だから」と収納を多くつくりすぎると、その分だけ居室が狭くなってしまいます。収納は「多いほど安心」ではなく、「暮らしに合った量」を見極めることが大切です。
使わない収納になってしまう
広さは十分なのに、実際にはあまり使われない収納になってしまうケースもあります。よくあるのが、以下のような原因です。
<使う場所から離れている>
掃除機を2階の納戸にしまっていると、1階を掃除するたびに階段を往復することになり、結局リビングの隅に出しっぱなしになりがちです。
<奥行きが深すぎる>
奥行きのある収納は、手前の物で奥が隠れてしまい、何が入っているのか分からなくなります。
<高さが合っていない>
手の届かない高い棚は、出し入れが面倒で使われなくなりがちです。
注文住宅の収納は、「しまえるかどうか」だけでなく「出し入れしやすいかどうか」まで考えることで、毎日使われる収納になります。
費用がかさんでしまう
注文住宅の収納は、増やすほど建築費にも影響します。特に、壁一面の棚やカウンター一体型の収納などを造作でつくる場合は、既製品の家具を置くよりも費用が高くなる傾向があります。
注文住宅では、あれもこれもと収納の希望を盛り込むうちに、気づけば予算を大きく超えていたということも珍しくありません。
予算内で満足度の高い収納にするためには、「造作にすべき場所」と「既製品や可動棚で十分な場所」を分けて考えることがポイントです。
注文住宅の収納計画の進め方4ステップ

注文住宅の収納で後悔しないためには、間取りを考えるのと同じタイミングで、収納計画も順を追って進めることが大切です。ここでは、収納計画を4つのステップに分けて解説します。
①持ち物を棚卸しする
注文住宅の収納計画は、今ある持ち物を把握することから始まります。
まずは家の中にある物を、部屋ごと・種類ごとにリストアップしてみましょう。季節家電やアウトドア用品など、普段は意識していない物も含めて書き出すのがポイントです。
あわせて、それぞれの物を「毎日使う」「ときどき使う」「季節ごとに使う」と使用頻度で分けておくと、後のステップで配置を決めやすくなります。
新居への引っ越しは、不要な物を手放して必要な収納量を見極める良い機会でもあります。
②場所ごとに収納を割り当てる
持ち物が把握できたら、「どこで使う物か」を基準に、収納する場所を割り当てていきます。
例えば、靴や傘、ベビーカーは玄関、食品のストックや調理家電はキッチン、タオルや洗剤は洗面所といったように、使う場所の近くに収納をつくるのが基本です。
注文住宅の収納でありがちなのが、大きな納戸を1か所だけつくり、何でもそこにまとめてしまうパターンです。使う場所から離れていると出し入れが面倒になり、結局は部屋が散らかる原因になります。収納は「まとめる」よりも「分散させる」意識を持つと、使いやすくなります。
③収納率で全体量を確認する
場所ごとの収納が決まったら、注文住宅の収納量が家全体として適切かを確認します。このときに参考になるのが「収納率」です。
収納率とは、延床面積に対して収納スペースの面積がどのくらいの割合を占めているかを示す数値です。
収納率(%)= 収納面積 ÷ 延床面積 × 100
間取り図ができた段階で計算すると、収納の過不足を客観的にチェックできます。目安は次の章でご紹介します。
④生活動線に合わせて配置する
最後に、収納の位置が家族の生活動線に合っているかを確認します。
朝の身支度や帰宅後の家族の動きを、間取り図の上でたどってみましょう。「帰宅したらすぐに上着をかけられるか」「洗濯物をたたんだ後、しまう場所まで遠くないか」といった視点でチェックすると、収納の位置の過不足が見えてきます。
注文住宅の収納は、量が足りていても位置が悪ければ使いにくくなります。動線上に収納を置くことで、自然と片付けが習慣になる住まいに近づきます。
注文住宅の収納はどのくらい必要?収納量の目安

「注文住宅の収納は、結局どのくらいあれば良いのか」と迷う方も多いでしょう。ここでは一般的な目安をご紹介しますが、必要な量は持ち物や暮らし方で変わるため、参考値として捉えてください。
収納率は床面積の12〜15%が目安
一戸建ての注文住宅では、収納率は延床面積の12〜15%程度が一つの目安とされています。
例えば延床面積が100㎡(約30坪)の家であれば、12〜15㎡程度が収納スペースの目安です。畳に換算すると、およそ7.5〜9畳分にあたります。
ただし、収納率はあくまで「面積」の目安であり、使いやすさまでは表していません。例えば3畳のウォークインクローゼットでも、人が歩く通路部分が必要なため、実際に物を置ける面積はそれより小さくなります。一方、天井まで使える壁面収納は、床面積が小さくても多くの物をしまえます。
注文住宅の収納率は、数字だけで判断するのではなく、収納の形や高さとあわせて確認することが大切です。
畳数で見る収納量の目安(1人1.5畳など)
注文住宅の収納量は、家族の人数から考える方法もあります。一般的には、大人1人あたり1.5畳程度、子ども1人あたり0.5〜1畳程度が、衣類や身の回りの物をしまう収納の目安と言われています。

上記はあくまで個人の持ち物を中心とした目安です。注文住宅では、これに加えて玄関やキッチン、洗面所など、家族で共有する物の収納も必要になります。
趣味の道具や衣類、仕事の書類が多い方は、目安より多めに見込んでおくと安心です。
多すぎる収納にも注意する
「収納は多いほど良い」と考えがちですが、注文住宅の収納は多すぎることにもデメリットがあります。
積水ハウスの調査でも、収納率が上がるほど満足度は高くなるものの、14〜16%あたりで頭打ちになり、それ以上増やしても満足度はほとんど変わらなかったと報告されています。
<居住スペースが狭くなる>
延床面積が同じなら、収納を増やすほど居室は狭くなります。
<建築費が上がる>
収納は面積の分だけ建築費に影響します。使わない収納にも費用がかかっていることを意識しておきましょう。
<物が増えやすくなる>
余裕があると不要な物まで「とりあえず」しまい込み、物が増える原因になります。
大切なのは、収納の量そのものではなく、「何をどこにしまうのか」が決まっていることです。持ち物の棚卸しをもとに、必要な量を見極めて計画しましょう。
注文住宅で人気の収納スペースと種類

注文住宅の収納は、暮らし方に合わせてさまざまなスペースを取り入れられます。まずは、人気の収納スペースの特徴を一覧で確認してみましょう。

ここからは、それぞれの収納スペースの特徴と、計画時のポイントを詳しく解説します。
シューズクローク(玄関)
シューズクロークは、玄関横に設ける土間続きの収納スペースです。靴だけでなく、傘やベビーカー、子どもの外遊びの道具、アウトドア用品など、外で使う物をまとめてしまえるのが魅力です。
注文住宅の収納としてシューズクロークを計画する際は、出入口が1か所の「ウォークイン型」と、玄関ホールへ通り抜けられる「ウォークスルー型」のどちらにするかを検討しましょう。
ウォークスルー型は家族用の動線として使えるため、来客用の玄関を常にすっきり保てます。
また、靴やアウトドア用品はにおいや湿気がこもりやすいため、換気扇や窓を設けて空気を入れ替えられるようにしておくことが大切です。
パントリー(キッチン)
パントリーは、キッチン周りに設ける食品庫です。食品のストックや飲料、ホットプレートなど出番の少ない調理家電、キッチン用の日用品をまとめて収納できます。
注文住宅の収納として人気が高い一方で、奥行きを深くしすぎると奥の物が見えにくくなり、賞味期限切れの食品が出てくる原因になります。棚の奥行きは浅めにし、高さを変えられる可動棚にしておくと使いやすくなります。
キッチンの壁面に浅い棚を設ける「壁面型」と、小部屋のように入って使う「ウォークイン型」があるため、キッチンの広さや持ち物の量に合わせて選びましょう。
ファミリークローゼット
ファミリークローゼットは、家族全員の衣類を1か所にまとめて収納するスペースです。洗濯物を各部屋に運ぶ手間がなくなるため、家事の負担を大きく減らせます。
注文住宅の収納でファミリークローゼットを取り入れるなら、洗面脱衣室やランドリールームの近くに配置するのがおすすめです。「洗う・干す・たたむ・しまう」が短い距離で完結し、入浴時の着替えもスムーズになります。
ただし、家族それぞれの衣類が混ざりやすいため、人ごとに棚やハンガーパイプの位置を分けておくと管理しやすくなります。子どもの成長に備え、子ども部屋に小さなクローゼットを用意しておくのもおすすめです。
小屋裏収納・ロフト
小屋裏収納は、屋根と天井の間のスペースを活用した収納です。扇風機やヒーターなどの季節家電、雛人形、思い出の品など、使用頻度の低い物の保管に向いています。
小屋裏収納やロフトは、天井の高さや面積などの条件を満たせば「階」として扱われず、床面積にも算入されません。これは国の技術的助言をもとに各自治体が定めている運用基準で、多くの自治体では、最高の内法高さが1.4m以下であること、面積がその小屋裏収納のある階の床面積の2分の1未満であることなどが条件とされています。
はしごを固定式にできるかどうかなど細かな取り扱いは自治体によって異なるため、注文住宅の収納として計画する際は、設計段階で確認しておきましょう。
また、小屋裏は夏場に熱がこもりやすいため、断熱や換気を計画し、熱や湿気に弱い物の保管は避けましょう。
階段下収納・壁面収納
階段下収納は、デッドスペースになりがちな階段の下を活用した収納です。天井が斜めになるため高さに制限はありますが、掃除機や日用品のストック、防災用品などをしまうのに便利です。
壁面収納は、リビングや廊下の壁一面に棚を設ける方法です。床面積をあまり使わずに収納量を増やせるため、注文住宅の収納を限られた広さで確保したい場合に役立ちます。扉付きにすれば生活感も隠せます。
失敗しない収納プランニングのコツ

注文住宅の収納を「使いやすい収納」にするためには、間取りの段階でいくつかのポイントを押さえておく必要があります。ここでは、プランニングで意識したい3つのコツをご紹介します。
動線を意識して配置する
注文住宅の収納計画で最も重要なのが、生活動線との関係です。物は「使う場所の近く」かつ「通り道の途中」にしまえると、片付けの手間が大きく減ります。
例えば、玄関からシューズクローク、パントリー、キッチンへとつながる動線にすれば、買い物から帰ってすぐに食品をしまえます。また、帰宅後の動線上に家族それぞれの上着やカバンを置ける場所をつくれば、リビングに物が散らかりにくくなります。
また、2階にしか大きな収納がないと、出し入れのたびに階段を上り下りすることになります。日常的に使う物の収納は1階に設けるのがおすすめです。
収納物のサイズに合わせて設計する
注文住宅の収納は、しまう物のサイズに合わせて設計できるのが大きなメリットです。
例えば、ベビーカーや自転車用のヘルメット、ゴルフバッグ、掃除機など、大きさや形が決まっている物は、事前にサイズを測っておきましょう。「ベビーカーが入らない」といった失敗を防げます。
また、棚の奥行きも重要なポイントです。衣類を掛けるクローゼットにはハンガーの幅に合わせた奥行きが必要ですが、本や食品、日用品の棚はそこまで深くする必要はありません。収納する物に合わせて奥行きを変えることで、デッドスペースのない使いやすい収納になります。
将来の変化を見据えてゆとりをもたせる
家族の暮らしは、子どもの成長や独立、親との同居、働き方の変化などによって少しずつ変わっていきます。注文住宅の収納も、今の暮らしだけでなく、将来の変化に対応できるように計画しておくことが大切です。
<可動棚を採用する>
棚の高さを自由に変えられる可動棚にしておけば、しまう物が変わっても柔軟に対応できます。
<用途を限定しすぎない>
「子どものおもちゃ専用」のように用途を決めすぎず、将来は別の物をしまえるシンプルなつくりにしておくと、長く使えます。
<少しだけ余白を残す>
収納をすべて埋める前提ではなく、2〜3割ほど余裕を見ておくと、物が増えたときにも慌てずに済みます。
まとめ
注文住宅の収納で後悔しやすいパターンから、計画の進め方、収納量の目安、人気の収納スペースまで解説しました。
注文住宅の収納は、たくさんつくれば良いというものではありません。持ち物の量を把握したうえで、使う場所の近くに、使いやすい大きさで収納を設けることが、片付けやすい住まいへの近道です。収納率や人数別の目安も参考にしながら、家族の暮らし方に合った収納計画を立てていきましょう。
HARU建築事務所は、京都府(京都市、向日市、長岡京市)を中心に、整理収納アドバイザーの知識も活かした収納計画のご提案を行っております。ご家族の持ち物や生活動線を丁寧にお伺いし、毎日を心地よく過ごせる住まいづくりをサポートいたします。
収納まで考え抜いた注文住宅をお考えの方は、ぜひHARU建築事務所にお声がけください。
▼お問い合わせはこちら
https://www.haru-kyoto.com/toiawase/index.html
よくある質問(FAQ)
注文住宅の収納について、よくいただく質問をまとめました。
注文住宅の収納率はどのくらいが理想?
注文住宅の収納率は、延床面積の12〜15%程度が一般的な目安とされています。ただし、持ち物の量やライフスタイルによって適切な収納率は異なります。数値だけでなく、収納の位置や使いやすさもあわせて確認しましょう。
ファミリークローゼットとWICの違いは?
ウォークインクローゼット(WIC)は主に寝室などに設け、夫婦など特定の人の衣類をしまう収納です。
ファミリークローゼットは家族全員の衣類を1か所にまとめる収納で、注文住宅の収納計画では洗面所の近くなど家事動線上に配置されることが多いのが特徴です。
収納を造作すると費用はいくら?
注文住宅の造作収納の費用は、大きさや素材、扉の有無などによって大きく変わります。
小さな棚であれば比較的抑えられますが、壁一面の収納や扉付きの収納になると費用は高くなります。
正確な金額は、間取りが固まった段階で見積もりを取って確認しましょう。
収納は多ければ多いほど良い?
収納が多すぎると、居住スペースが狭くなったり建築費が上がったりします。注文住宅の収納は、持ち物の量に対して少しゆとりを持たせる程度が理想です。必要な量を見極め、使いやすい場所に配置することを優先しましょう。
【この記事の監修者】
株式会社HARU建築事務所 竹内 香純
インテリアコーディネーター・整理収納アドバイザー・建築カラーコーディネーター
株式会社HARU建築事務所にて、主にお客様との内装打ち合わせを担当いたします。整理収納アドバイザーの知識や自身の子育て経験を活かし、ライフスタイルに合わせた家事動線のよい「やさしい家」づくりをサポートいたします。
参考・出典